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Screams
751mm×693mm
英語
ゴシック・テクスチューラ体、ロトゥンダ体​、
ローマンキャピタル(モノライン)、
​フィリグリー

代表的なゴシック小説の「フランケンシュタイン」の一場面を​ゴシック書体で書いてみました。ゴシック書体にはいくつかの種類がある大家族で、その中から代表的なゴシック・テクスチューラとスペインやイタリア地方で流行ったロトゥンダ体を選びました。黒の文字はフランケンシュタイン博士の心の声を、真ん中の褐色の文字は「フランケンシュタイン」のイントロ部分、失楽園より一部抜粋した、文中で生み出された怪物の声を表しています。タイトルの “Screams” には決して分かり合えない二人の心の声(叫び)を表したものになります。フランケンシュタイン博士は男性ですが、自らの手で命を生み出した女性的な存在を表すため、ゴシック・テクスチューラをあえて少し女性らしくアレンジし、ゴシック書体の中でも丸みの帯びたロトゥンダ体を怪物のイメージにするため少し硬めの男性的なイメージに。そして文章の中に文章を入れたレイアウトは母親と胎児を表しています。文中のfilthy(汚い)やdaemon(悪魔)など生み出された怪物を形容する単語はフィリグリーつきの飾り文字で強調しました。フィリグリーのデザインはイタリアの写本Maestro dei Salteri di Bosco ai Fratiを参考にしてます。途中にところどころ赤い文字が入ってますが、上から下までつなげて読むと何かが見えてくるかもしれません...

この作品は材料にも凝っていて、金箔を見え方が違うジェッソとガムアンモニアックという二種類の下地を使い、行を装飾するためのラインフィリングは絵の具の上に金粉を、さらにAの飾り文字には卵テンペラも使用しています。

 

 

A flash of lightning illuminated the object, and discovered its shape plainly to me; its gigantic stature, and the deformity of its aspect, more hideous than belongs to humanity, instantly informed that it was the wretch, the filthy daemon to whom I had given life.

真ん中の文

Did I request thee, Maker, from my clay

To mould me man? Did I solicit thee

From darkness to promote me?

――Paradise lost

芹澤 恵訳

ひと筋の稲妻が走り、その姿をはっきりと照らし出したのです。巨大な体躯(たいく)、醜悪でおよそ人間のものと思えぬ面相。ひと目でわかりました、これはあの唾棄(だき)すべき生き物、わたしが生命(いのち)を与えてしまった、あのおぞましい悪魔だ、と。

真ん中の文

創造主よ、わたしを土塊(つちくれ)から人の姿に創ってくれと

頼んだことがあったか?わたしを暗黒から起こしてくれと

願ったことがあったか?

英文位置
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