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written by Ying  SPQR 全体

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SPQR
647mm×896mm
ラテン語
ローマンキャピタル、​ルスティカ体、アンシャル体

カエサルの「ガリア戦記」より抜粋。文中より戦い一場面を選んだのですが、戦争の様子を傍観者の目を通してただ淡々と語っているものをイメージしてます。古くから戦いに勝利した際は石碑などにその情景を残す風習があり、これも石碑に刻まれた文字をイメージしています。したがってサインの部分がscribebatではなく、fecitとしたのも書いた文字ではなく、彫ってある(作った)を意識した結果です。エレガントで洗練されたスタイルを表すため、Xハイトは高めに10をとっています。タイトルのSPQRは同じローマンキャピタルですが、Xハイト8ほどで、筆で書いたようなスタイルと書き分けてます。SPQRとは、ラテン語の「Senatus PopulusQue Romanus」、「ローマの元老院と人民(市民)」の略語。ローマの過去の栄光を意味するタイトルになってます。紙のサイズに対して文章の長さや文字の大きさ的にギリギリなため、場所の節約に多様なリガチャーを使っているのも、この作品の見どころの一つです。この作品で使われた色は実は友人のファッションを参考にしています。羽織るコートは紙の、マフラーは文字の色になっています。文字の色を決めるまで百回ほど自問自答し、紙も画材屋でサンプルを穴を開くほど見て探したたった一枚のこだわりの色です。この作品を作った際にカエサルの名前もさまざまな表記の仕方があると知り、その中で個人的に少し面白いものにしてみました。名前は通常Gaiusになりますが、古い綴りにのっとりCaiusと書かれることがよくあるそうです。なので、決してGをCに書き間違えたのではありません!(ギリシア語表記も面白そうでしたが、書き方がまだわからず、お預けに…)興味がある方はぜひ検索してみてください。

 

 

 

 

Horum adventu tanta rerum commutatio est facta ut nostri, etiam qui vulneribus confecti procubuissent, scutis innixi proelium redintegrarent, calones perterritos hostes conspicati etiam inermes armatis occurrerent, equites vero, ut turpitudinem fugae virtute delerent, omnibus in locis pugnae se legionariis militibus praeferrent.

At hostes, etiam in extrema spe salutis, tantam virtutem praestiterunt ut, cum primi eorum cecidissent, proximi iacentibus insisterent atque ex eorum corporibus pugnarent,his deiectis et coacervatis cadaveribus qui superessent ut ex tumulo tela in nostros conicerent et pila intercepta remitterent: ut non nequiquam tantae virtutis homines iudicari deberet ausos esse transire latissimum flumen, ascendere altissimas ripas, subire iniquissimum locum; quae facilia ex difficillimis animi magnitudo redegerat.

 

 

 

 

高橋宏幸訳

彼らが駆けつけると局面は大きく変化した。わが軍は負傷して困憊し、倒れ伏していた者たちまで盾に身をもたせて再び戦い始めた。従軍奴隷たちが敵の怖じ気づいた様子を見て、丸腰でも武装兵に立ち向かった。騎兵はまた、逃走の失態を武勇で帳消しにしょうと、どこであろうと戦いに加わって軍団兵にまさる働きを見せようとした。ところが敵も、生き残る見込みがどれほどかすかになろうと、じつに立派な武勇を発揮した。最前線の兵が倒れれば、次の兵が横たわる者を踏み台にして遺体の上から戦った。これも倒されて死骸がうずたかくなると、生き残った者たちが、あたかも墳墓からするように、わが軍に矢玉を打ち込み、取り込んだ投げ槍を投げ返した。その結果、それほどの武勇を備える者たちが挑むどんな果敢な試みも徒労とはみなせなかったほどである。どれほど広い川を渡ることも、どれほど高い川岸を登ることも、どれほど不利な場所に攻め寄せることも、要するに、どれほどの困難も偉大な魂には容易なものと映ったのである。

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